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東京地方裁判所 昭和61年(特わ)1878号 判決

本店所在地

東京都大田区矢口一丁目二三番二九号 武蔵ハイム

(実質上の所在地 同都目黒区中根一丁目九番九号)

アルユメ株式会社

右代表者代表取締役 津行良明

本籍

東京都府中市栄町一丁目一〇番地の三三

住居

同都目黒区柿の木坂一丁目一八番五号

会社役員

津行良明

昭和二一年八月一四日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官江川功出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

一  被告人アルユメ株式会社を罰金一六〇〇万円に、被告人津行良明を懲役一〇月にそれぞれ処する。

二  被告人津行良明に対し、この裁判確定の日から二年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人アルユメ株式会社(以下「被告会社」という)は、東京都大田区矢口一丁目二三番二九号武蔵ハイム(昭和五七年一〇月二四日以前は、同区下丸子二丁目二一番一三号伊藤鉄工所二階。実質上、同年九月以降は、同都目黒区中根一丁目九番九号)に本店を置き、各種エレクトロニクス装置の設計、施工及び製造、販売などを目的とする資本金二、四〇〇万円(昭和五九年三月三一日以前は、一、六〇〇万円、同五八年四月一五日以前は、八〇〇万円)の株式会社であり、被告人津行良明は、被告会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人津行は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上除外、材料の架空仕入の計上、あるいは外註加工費の水増し計上等の方法により所得を秘匿した上、昭和五六年一一月一日から同五七年一〇月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一億六六一〇万八七〇六円(別紙(1)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、同年一二月二八日、東京都大田区蒲田本町二丁目一番二二号所在の所轄蒲田税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二八三三万九〇九一円でこれに対する法人税額が一〇四四万七〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(昭和六一年押第一〇八九号の1)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額六八三一万円と右申告税額との差額五七八六万三〇〇〇円(別紙(2)脱税額計算書参照)を免れたものである。

(証拠の標目)

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書六通

一  収税官吏の被告人に対する質問てん末書四通

一  収税官吏作成の次の調査書

売上高調査書

当期材料仕入高調査書

期末材料棚卸高調査書

外注加工費調査書

支払手数料調査書

受取利息、割引料調査書

事業税認定損調査書

為替差益調査書

一  収税官吏の富士本淳、前田幸太郎、阿部仁(三通)に対する各質問てん末書

一  富士本淳(二通)、渡辺卓子、松尾榮一(二通)、渡辺良夫の検察官に対する各供述調書

一  青木輝久作成の申述書

一  閉鎖登記簿謄本五通及び登記簿謄本

一  押収してある法人税確定申述書(昭和六一年押第一〇八九号の1)

(法令の適用)

一  罰条

被告会社につき法人税法一六四条一項、一五九条一、二項、被告人津行につき法人税法一五九条一項

二  刑種の選択

被告人津行につき懲役刑選択

三  刑の執行猶予

被告人津行につき刑法二五条一項

(求刑 被告会社につき罰金二〇〇〇万円、被告人津行につき懲役一〇月)

(裁判官 田尾健二郎)

別紙(一)

修正損益計算書

アルュメ株式会社

自 昭和56年11月1日

至 昭和57年10月31日

〈省略〉

別紙(二)

脱税額計算書

会社名 アルユメ株式会社

自 昭和56年11月1日

至 昭和57年10月31日

〈省略〉

(注)1 課税所得金額欄中(  )書は所得金額を表わす

(注)2 昭和59年4月1日から昭和60年3月31日までの間に終了する各事業年度の所得は下段の税率を適用する。措法第12〈1〉

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